近年、投資の世界でも人工知能(AI)の活用が進み、「ロボアドバイザー」と呼ばれるAIを活用した投資アドバイスサービスが注目を集めています。
ロボアドバイザーは、投資経験が浅い個人投資家にとって、手軽に資産運用を始められるツールとして期待されています。
本記事では、ロボアドバイザーの定義や種類、メリット・デメリット、選び方のポイントについて解説していきます。AI時代の投資スタイルを知る上で参考にしてください。
1. ロボアドバイザーの定義とは?
人工知能(AI)を活用した金融サービスで、個人投資家向けの投資アドバイスや運用を提供するサービスです。
ロボアドバイザーは、感情を持たずに客観的な判断を下すことができるため、個人のリスク許容度や投資目標などを評価し、最適な投資プランを提案してくれます。
これにより、個人投資家は専門知識や経験を持たなくても、効果的な資産運用が可能となります。
主に、運用代行型とアドバイス型の2つのタイプがあります。
運用代行型では、ロボアドバイザーが自動的に投資商品を選定し、ポートフォリオのバランスを調整してくれます。一方、アドバイス型では、投資家自身が購入や取引を行いながら、ロボアドバイザーのアドバイスを受けることができます。
ロボアドバイザーは利用しやすいサービスで、最低投資金額が低いため、初心者や小額投資家にも適しています。
しかし、利用する際には、自分の投資目標やリスク許容度を明確にし、サービスの利用方法や手数料について理解しておくことが重要です。
2. ロボアドバイザーの種類
ロボアドバイザーには、主に2種類のタイプが存在します。
それぞれの特徴と使い方を紹介します。
2.1 助言型(アドバイス型)
このタイプは、投資家に最適な資産配分を提案します。以下に、助言型ロボアドバイザーの特徴を挙げます。
- ロボアドバイザーからはポートフォリオの提案がありますが、投資家自身が実際の購入やリバランスを行います。
- 投資家は、提案されたポートフォリオを自分好みにカスタマイズすることができます。
- 手数料は、投資一任型よりも抑えることができます。
助言型のロボアドバイザーは、自分の資産配分を自由に変更したい方や手数料を抑えたい方におすすめです。
2.2 運用型(投資一任型)
こちらのタイプは、投資一任型とも呼ばれ、投資家に代わって資産運用を行います。
以下に、運用型ロボアドバイザーの特徴を挙げます。
- ロボアドバイザーが最適な商品を提案し、投資家が購入・運用・リバランスを行います。
- 投資一任型では、投資に必要な作業をすべてロボアドバイザーに任せることができます。
- 運用型の場合、手数料は一般的に投資一任型よりも高くなります。
運用型のロボアドバイザーは、自分のリスク許容度がわからない方や、すべての作業を任せたい方におすすめです。
これらのロボアドバイザーは、AIを活用して資産運用を行いますが、助言型と運用型では任せる範囲が異なります。
自分の運用目的やリスク許容度に応じて、適したタイプを選びましょう。
3. ロボアドバイザーのメリット
ロボアドバイザー投資には、以下のような数々のメリットがあります。
一つずつ見ていきましょう。
自動で資産運用
投資家の代わりに資産運用を行ってくれるため、手間をかけずに投資ができます。
特に投資一任型の場合、年齢や資産に関するいくつかの質問に答えるだけで、自動的に投資を行ってくれます。
手動で投資を行う場合株価の下落などの状況に冷静に対応することが難しく、逆に損失を招くこともありますが、自動で資産運用が行われることで主観的な判断を排除し、感情に基づく投資による損失を減らすことができます。
スマホから簡単に投資
ロボアドバイザー投資は専用のアプリケーションを通じて、スマートフォンから簡単に行うことができます。一日中モニターでチャートを見続ける必要はありません。
普段使っているスマートフォンで、ロボアドバイザーの運用成果を簡単に確認し、さらには入金も行うことができます。
時間や場所にとらわれずに投資を始めたい人にとって、ロボアドバイザー投資は最適な方法です。もちろんスマートフォンだけでなく、パソコンからのログインにも対応しています!
投資知識や経験が不要
ロボアドバイザーが自動的に資産運用を行ってくれるため、深い投資知識や手間をかけることなく資産を増やすことができます。
特に投資一任型の場合、商品の選択から売却までロボアドバイザーに任せることができ、手間をかけずに投資を放置することも可能です。
投資は敷居が高く感じられ、踏み出せない人にとって、ロボアドバイザー投資は大変おすすめです。投資の勉強に忙しいサラリーマンにもぴったりの投資方法です。
以上がロボアドバイザーのメリットです。
自動運用、簡単な操作、投資知識の不要といった魅力的な点があります。
次は、ロボアドバイザーのデメリットについて見ていきましょう。
4. ロボアドバイザーのデメリット
ロボアドバイザーを利用する場合には、以下のデメリットを考慮する必要があります。
① 高い手数料
ロボアドバイザーのデメリットの一つは、投資一任型の手数料が比較的高額に設定されていることです。
多くのサービスでは、運用資産の1%程度の手数料がかかります。投資経験のある人にとっては、自分で投資を行う方が手数料が低くなることが多いでしょう。
ただし、初心者にとってロボアドバイザーは手軽で簡単な選択肢であり、投資を始めるためのコストと考えることもできます。
② 短期的な利益の見込みが難しい
ロボアドバイザーの多くは、数年または数十年といった長期的な投資を目指しています。
そのため、「数日や数ヶ月で大きな利益を得たい」と考える人には向いていないかもしれません。
投資にはリスクが伴い、大きな利益を得る可能性がある一方で、大損するリスクもあるため、初心者が短期的な利益を追求することはおすすめされません。
ロボアドバイザーは将来の資産形成のために長期的な運用を志向しており、着実に積み重ねることが求められます。
③ 成績が思ったよりも悪い場合
ロボアドバイザーを利用する際のデメリットとして、期待したような成績が出なかった場合もあります。
投資には市場の上下があり、成績が振るわない可能性もあるため、十分に考慮する必要があります。アルゴリズムに基づいて運用されるため、常に利益を得るわけではありません。
投資の結果やパフォーマンスは個人によって異なるため、期待通りの結果が得られなかった場合でも、長期的な視点で運用を見ていく必要があります。
これらがロボアドバイザーのデメリットとして考慮すべき点です。
デメリットを理解し、自身の投資スタイルや目的に合った選択をすることが重要です。
ロボアドバイザーを利用する際は、これらのデメリットを踏まえた上で、自分に最適な投資方法を選びましょう。
5. ロボアドバイザー選びのポイント
ロボアドバイザーを選ぶ際には、以下のポイントに注意しましょう。
ポイント①:最低投資額
ロボアドバイザーの利用には、最低投資額が設定されています。
各会社ごとに最低投資額は異なるので、自分の予算に合わせて選ぶことが重要です。
初心者の方や少額からの投資を行いたい方には、最低投資額が低いロボアドバイザーがおすすめです。
以下はいくつかのロボアドバイザーの最低投資額の例です。
- ・ロボプロ – 10万円
- ・ウェルスナビ – 1万円
一方で、資金に余裕がある方には口座開設数が多く実績もあるウェルスナビを選ぶのが良いでしょう。
ポイント②:運用タイプ
先述の通り、ロボアドバイザーには、助言型(アドバイス型)と運用型(投資一任型)の2つの運用タイプがあります。
- 助言型(アドバイス型): 最適な商品や投資方法の提案を受けるタイプ
- 運用型(投資一任型): 商品の提案から運用まですべてを任せるタイプ
自分で投資商品を選定し積立を行いたい方には助言型のロボアドバイザーがおすすめです。
一方で、忙しく手間をかけずに運用を任せたい方には運用型のロボアドバイザーが適しています。
自分に合った運用タイプを選ぶことで、失敗を防ぐことができます。
ポイント③:手数料
ロボアドバイザーの利用には、手数料がかかることが一般的です。
手数料はロボアドバイザーごとに異なるだけでなく、運用タイプによっても変わります。手数料が安いロボアドバイザーを選ぶことで、余分な費用を抑えることができるので要チェックです。
以下は手数料が安いロボアドバイザーの例です。
手数料は資産額に対して発生するため、大きな資産を運用するほど手数料も高額になります。
負担の大きさを考慮し、手数料を比較して選ぶようにしましょう。
ポイント④:NISA(少額投資非課税制度)対応の有無
NISAに対応しているかも重要なポイントです。
NISAに対応しているロボアドバイザーを選ぶことで、運用益を非課税で受け取ることができます。長期的な積立投資を行う上での税金面でのメリットがあります。
ただし、NISA口座は1人1口座しか作れないため、NISA口座を検討している方は注意が必要です。
これらのポイントを意識しながら、自分に合ったロボアドバイザーを選ぶことで、失敗を防ぐことができます。
まとめ
ロボアドバイザーは、簡単に始められる投資方法として注目されています。自動で運用してくれるので、初心者にも非常に便利です。
ただし、高い手数料やショートターム運用での利益見込みの難しさなどのデメリットもあるため、自身のリスク許容度や投資目的に合わせて、慎重に検討し選択することが重要です。
利用する際は、最低投資額や運用タイプ、手数料、NISA対応の有無などのポイントに注意して、自分に最適なサービスを見つけましょう。
ロボアドバイザーは初心者の投資をサポートしてくれる有力なツールですが、デメリットも理解した上で活用することで、効果的な資産形成が期待できるでしょう。