資産形成のための投資は、誰もが等しく機会を与えられているべきです。
従来は、高額な投資が必要だったり投資知識がなかったりと、一般の人々にとって投資は敷居が高かったのが事実です。
しかし、2024年度からNISAが一本化され、つみたて投資枠と成長投資株が併用可能となりました。
つみたて投資枠では、長期的な視点での少額投資を促進し、非課税で資産形成できるようになり、成長投資株では、短期的にも長期的にも利益獲得を狙うことができるようになりました。
本記事では、NISAの仕組みや投資におけるリスクと対処法、元本割れを避ける投資方法などを詳しく解説していきます。
投資に興味はあるけれど不安な方も、ぜひ参考にしてみてください。
1. NISAとは
1.1 NISAの基本情報
NISA(ニーサ)とは、少額からの投資を支援するための「少額投資非課税制度」です。
投資信託や株式などの金融商品を対象としており、NISA口座で投資した一定の購入分については、その配当や分配金、譲渡益が非課税になる制度のことを言います。
一般投資家の資産形成を支援し、手軽に投資を始められるようにすることを目的としています。
※2024年からNISAは、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2本が一本化されました。
つみたて投資枠には、120万円の投資枠が設けられており、一定の条件を満たした投資信託が対象商品となっています。一方で成長投資枠は、年間240万円までの投資枠が設けられており、国内株式や国外株式、投資信託が対象商品となっています。
1.2 対象商品とその魅力
NISAの特徴には以下のような点があります。
- 【成長投資枠】
- 年間の投資枠が240万円:毎年240万円を上限とし、資産を短期的にも長期的にも運用することが可能です。
- つみたて投資枠よりも幅広い: 信託期間が20年以上または無期限であること、一定のデリバティブ取引が用いられていないこと、毎月分配型ではないことを満たす商品への投資が可能です。
- 一括投資・つみたて投資どちらでもOK: 一括で240万円を投資することも可能、コツコツ積立投資を行うことも可能です。
- 【つみたて投資枠】
- 年間の投資枠が120万円:積立設定は毎月10万円を条件として、資産を長期的に運用することが可能です。
- 一定条件を満たす投資信託にしか適応されない: 国が定めた基準を満たした投資商品にのみ利用可能です。
- 積立のみ利用可能: 積立投資にしか利用できません。一度、積立設定を行えば自動で買付することも可能です。
国の基準を満たしていることが条件のため、選択肢は限られていますが、初心者が安心して投資するための多様な商品が用意されています。
1.3 非課税期間と長期投資のメリット
NISAの期間は、2024年からの新NISAでは非課税期間が無期限になりました。
しかし、2023年までの旧NISAでは、一般NISAが5年、つみたてNISAが20年と期間が設けられています。
運用益を積極的に再投資することで、資産を効率的に増やす効果が期待できます。
長期的な観点から投資を行うことで、市場の変動によるリスクを抑えつつ、将来的に大きなリターンを狙えるのが魅力です。
1.4 NISAの利用者層
金融知識があまりない人でも取り組みやすく、投資に対する不安を軽減する役割を果たしています。
将来の資産形成の重要性が高まる現代において、NISAはその実現を助ける存在となっているのです。
2. NISAの元本割れリスク
元本割れについての理解
「元本割れ」とは、投資した資金が市場価値の変動により減少することを示します。
例えば、40万円を投資した結果、売却の際にその価値が20万円に下がった場合に元本割れが生じたと言います。
この場合、元本割れは投資家が実際に損失を被っている状態を示しますが、つみたてNISAの場合はこれが借金を意味するわけではありません。
投資した金額が減少してもそれが他者からの借り入れによるものでないため、追加的な負担を心配する必要はありません。
元本割れの要因
NISAにおける元本割れのリスクは、さまざまな要素から影響を受けます。
市場の変動要因: 株や債券の市場は常に価格が変動しており、特に短期間にわたる動きが投資信託の価値に大きな影響を与えることがあります。
投資の期間: 短期的な運用を行う場合、元本割れのリスクが高くなることが一般的です。逆に、長期間にわたる運用ではリスクが低減されます。過去のデータによると、20年の運用を行った場合、元本割れリスクは大幅に減少することが示されています。
選ぶ金融商品: 投資先の商品によってリスクの度合いは異なります。リスクの高い金融商品を選ぶと、自然と元本割れのリスクが増加します。
短期運用と長期運用を見極める
NISAの利用は、一般的に長期的な投資を想定して設計されています。
短期の価格変動に過敏になってしまうと、元本割れのリスクが拡大する恐れがあります。
そのため、投資を初める際は、冷静に長期的な視点を持つことが重要です。
過去の投資家のデータから見ても、長期にわたって運用を続けた方々の多くは安定したリターンを得ています。
3. 元本割れが起きた場合の対処法
元本割れが生じた際には、その状況に対処するための適切な知識を持っておくことが非常に重要です。
投資は長期的に見ることが求められますが、予期せぬ市場の変動によって元本割れが起こった場合にどのように行動すればよいのか、以下に示します。
3-1. 冷静に現状を把握する
元本割れが起こった時には、まず落ち着きを保つことが大切です。
市場の動きや自分が投資している資産の将来的な見通しを分析しましょう。目先の変動に影響されず、長期的な戦略に基づいて冷静に判断する必要があります。
3-2. 追加投資を考える
元本割れの理由を理解した上で、その資産に将来的な成長の可能性があるかを考慮に入れましょう。
企業の基本的な価値や市場状況に特段の変化がない場合、価格が下がったタイミングで追加投資を行うことが有効です。これにより平均購入価格を引き下げることができます。
ただし、投資先の将来性については慎重に検討することが求められます。
3-3. 投資ポートフォリオを再評価する
元本割れが継続している場合、投資ポートフォリオを見直すチャンスです。
リスクの高い資産や自分のライフスタイルに合わない商品を保有している可能性があります。この機会に見直しを行い、リスクを適切に分散させる方法を考えることが重要です。
3-4. 感情に流されない
投資において、感情による決断は禁物です。
元本割れによる不安や恐怖から衝動的に売却するのは避けるべきです。冷静な分析と、将来的な成長を見越した行動が求められます。
3-5. 専門家の助言を求める
不安を感じている際には、ファイナンシャルプランナーや投資アドバイザーに相談するのも一つの選択肢です。
専門的なアドバイスを受けることで、自分の投資戦略を見直す機会となり、より冷静な判断を助けてくれます。
一人で悩むのではなく、ぜひ利用してみてください。
4. 元本割れを防ぐための投資方法
元本割れを避けるためには、いくつかの効果的な戦略を講じることが重要です。
それぞれの投資スタイルやリスク許容度に応じて最適な方法を選択しましょう。
4-1 長期的な視点と分散投資
長期投資の意義
投資においては、短期的な市場の動きに左右されない長期的なアプローチが求められます。市場には常に変動があり、下落局面も避けられません。
さらにこれまでの傾向として、長期的にみると市場は復調する傾向があります。そのため、具体的な投資目標を持ち、短期的な逆境に動揺せず坚持する姿勢が大切です。
リスク分散の効果
異なる投資対象や地域への投資を行うことでリスクを分散させることが可能です。例えば、国内外の株式、債券、不動産などに資金を分散させることで、特定の資産が不振でも全体のパフォーマンスを安定化させることができます。
この「バランス型投資」は、リスクを軽減する一つの手段です。
4-2 ポートフォリオの定期見直し
投資環境は常に変わっていくため、定期的に投資ポートフォリオを見直すことが重要です。
経済状況の変化に応じた調整
自身のライフステージや経済状況の変化を踏まえ、投資先やその比率を見直すことが必要です。たとえば、結婚や子供の誕生、マイホームの購入を考える際には、リスクを抑えた資産にシフトすることが重要です。資産配分が適正であるかどうかを定期的に確認し、必要に応じて柔軟に対応することが元本割れを防ぐ一助となります。
4-3 積立額の決定
投資を始める際には、適切な積立額を設定することが欠かせません。
無理のない範囲での積立
生活費や緊急資金を考慮した上で、無理のない範囲での積立を行うことが重要です。定期的に安定した額を投資することで、市場の変動による影響を和らげることが可能です。たとえば、毎月同じ額を投資することで、相場が低いときに多くの株を購入できるメリットがあります。
4-4 投資先の選択
投資対象を選ぶ際には、前もって十分なリサーチを行い、信頼性のある商品を選ぶことが重要です。
リスクを考慮した選定
リスクの少ないディフェンシブ株や、景気後退時でも比較的安定した運用が期待できる債券など、自分のリスク許容度に応じて投資先を選びましょう。また、インデックスファンドなどのパッシブ運用商品も効果的な選択肢です。これにより、時間と手間を省きながら市場全体の成長を享受することが可能になります。
4-5 心理的要因の管理
投資の成功には、心理的な要因も大きな影響を与えます。
感情に振り回されない
市場の動向に敏感になり過ぎると、不安や恐れから投資を中止したり、軽率に売却してしまったりする危険があります。元本割れが起こった際にも冷静に状況を分析し、長期的な視点を維持することが大切です。投資は短距離走ではなく、マラソンであるため、じっくりと結果を待つ姿勢が必要です。
5. NISAの非課税メリット
NISAは、誰でも利用できる魅力的な非課税制度です。
このセクションでは、NISAがどのように投資家に利益をもたらすのか、その非課税メリットについて詳しく解説します。
運用益が非課税になる
通常、投資から得られる利益には約20%の税金がかかりますが、NISAを利用することで、これらの運用益が非課税となります。
これにより、長期にわたる投資の結果得られた利益がそのまま残り、資産形成をより効果的に行うことができます。
長期保有が可能な非課税期間
一般NISAは5年間、つみたてNISAは20年間に限定されていました。2024年度からの新NISAでは無期限になりました。
複利効果を活かすことができ、資産が着実に増えていくのを実感できるでしょう。
長期間にわたり、資産を非課税で保有できることは中長期的な視野での資産形成において大きな利点です。
規制された投資対象
NISAのつみたて投資枠に限っては、金融庁が指定した安全性の高い投資信託やETFにのみ投資できるため、より安心して資産運用を行えます。
通常の株式投資やリスクの高い金融商品と比較すると、リスクを抑えた賢い投資が可能です。
自動的な積立投資
自動積立機能を提供しており、設定した金額が自動で引き落とされます。
このため、日常生活の中でわざわざ投資のタイミングを考慮する必要がなく、忙しい日常を送る中でも簡単に投資を続けることができます。
さらに、定期的に投資を行うことで、リスクを軽減することが期待できます。
売却益の非課税
NISAを通じて得た金融商品の売却に関しても、その売却益には税金がかかりません。
たとえば、投資で得た100万円の利益はすべて手元に残りますので、将来的な生活費や教育資金として非常に助かります。
この制度を利用することで、多くの人々が長期的に資産を増やすチャンスを得られます。NISAの非課税メリットをうまく活用することで、資産形成の強力な手段として機能します。
まとめ
NISAは、一般の人々が手軽に始められる投資制度であり、非課税メリットが大きな魅力となっています。
元本割れリスクは存在しますが、長期的な視点と適切なリスク管理を心がければ、安定的な資産形成を実現できます。
投資初心者にも配慮された設計で、少額から始められる点が特に魅力的です。長期的な資産形成を行うことで、将来の生活設計に大きな影響を与えることでしょう。
NISAを通じて、一人ひとりが自らの資産づくりに取り組むことができるのは素晴らしい機会だと言えるでしょう。