老後の資金形成をサポートする制度であるiDeCo(個人型確定拠出年金)は、節税効果や投資運用の自由度が高いことから人気がありますが、デメリットも存在します。
本記事では、iDeCoにおけるデメリットにフォーカスし、その理由やデメリットを克服するための対処法について詳しく解説していきます。
これからiDeCoを始めようとしている方やすでに活用している方にとって、より効果的な資産形成を目指していただくための参考になれば幸いです。
では、さっそくiDeCoのデメリットやその理由について見ていきましょう。
1. iDeCoとは
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、個人が自身で確定拠出年金を作るための制度です。
また、個人が将来の安定した生活のために老後資金を築くための制度とも言えるでしょう。
この制度では、さまざまな金融商品(投資信託、保険、定期預金など)の中から選んで運用することができます。最低掛け金は5,000円からであり、運用期間中は自由に商品を組み替えることが可能です。
1.1 iDeCoの受け取り時期
iDeCoは、公的年金に追加して利用することができる制度であり、原則として60歳になった後に年金または一時金として受け取ることができます。
1.2 加入資格と条件
iDeCoに加入できるのは、基本的には20歳以上65歳未満の国民年金加入者です。2022年5月以降は、60歳以上65歳未満の国民年金任意加入者もiDeCoに加入することができるようになりました。
1.3 iDeCoのメリット
iDeCoには3つの節税効果があります。
所得控除による節税効果や配当金・譲渡所得の非課税など、老後資金を積み立てながら投資信託を非課税で運用することができます。
- 所得控除による節税効果:iDeCoへの掛け金が所得控除の対象となります。
- 配当金・譲渡所得の非課税:運用して得た配当金や譲渡所得が非課税となります。
- 資産形成のための節税効果:運用益の課税を5年間延期することができます。
1.4 iDeCoの加入方法
iDeCoへの加入は、証券会社や銀行を通じて行います。具体的な手続きは、各金融機関の公式サイトなどで確認することができます。
iDeCoは将来の安定した生活のために自身で老後資金を築くための制度です。早めに始めることをおすすめします。
2. iDeCoのデメリットと言われる理由
iDeCo(イデコ)は、老後の資金形成をサポートする制度ですが、なぜかデメリットの声が多く聞かれます。
以下に、iDeCoのデメリットと言われる理由を紹介します。
収入がない場合
iDeCoを始めるには、運用に回すための掛け金以外に口座管理手数料や運用管理費用が必要です。
収入がない場合、貯金を取り崩してiDeCoに参加する必要があり、iDeCoが負担になってしまう可能性があります。
貯金が十分でなく掛け金が家計に影響する場合
iDeCoの基本は定期的に掛け金を積み立てて運用することです。
しかし、貯金が十分でない場合や掛け金が大きすぎる場合は、続けることが難しくなる可能性があります。
定期預金だけで運用する場合
現在の超低金利時代では、定期預金だけでは高リターンを期待することは難しいです。iDeCoを運用するために定期預金だけを使った場合、リターンを期待することができず、デメリットの声が高まることでしょう。
元本割れしてしまった場合
iDeCoでは投資信託などを選択することができますが、投資には元本割れのリスクがつきものです。もし投資をして元本割れしてしまった場合、iDeCoそのものがデメリットとなる可能性があります。
これらの理由から、iDeCoにはデメリットしかないと言われることがあります。
しかし、個々の状況や目標に合わせて適切に判断すれば、iDeCoを上手に活用することができるでしょう。
3. iDeCoの主なデメリット
上記でもiDeCoがデメリットと言われる理由を紹介しましたが、さらに主なデメリットをご紹介します。
デメリット① 引き出しは原則65歳から
iDeCoの最大のデメリットは、掛金を65歳まで引き出すことができない点です。iDeCoは将来の資金形成を目的とした制度であり、通常は65歳まで引き出すことができません。ただし、一部の条件を満たすことで一部の資金を中途脱退として引き出すことは可能です。
デメリット② 途中解約は原則不可
iDeCoは長期の資産形成を目指した制度であり、通常は途中で解約することができません。60歳まで運用を続けることが求められます。
ただし、特例条件を満たす場合には中途脱退が認められ、一時金を受け取ることができます。
デメリット③ 価格変動リスクの存在
iDeCoの運用には、定期預金、保険、投資信託などから選択する必要があります(併用も可能)。
特に投資信託は価格変動リスクがあり、資産額が日々変動する可能性があります。株式や債券などのリスク要因によって、大きな価格変動が生じる場合もあります。この点については注意が必要です。
デメリット④ 手数料がかかる
iDeCoの運用には、口座管理手数料や運用管理費用がかかります。これらの手数料は投資信託や保険商品によって異なります。手数料は運用成績に直接影響を与えるため、事前に内容や金額をよく確認する必要があります。
以上がiDeCoの主なデメリットです。
デメリットを理解し、それに応じた対策や適切な資金計画を立てることが重要です。
4. iDeCoのおすすめとおすすめできない人
iDeCoは、老後の資金を節税効果を活かしながら蓄えることができる制度です。
ただし、iDeCoがすべての人にとって適しているわけではありません。以下に、iDeCoをおすすめできる人とおすすめできない人をご紹介します。
iDeCoをおすすめしたい人
-
自営業者やフリーランスの方
国民年金だけでは老後の資金が心配です。iDeCoに加入することで、老後の生活費を安定させることができます。 -
公務員の方
年金や退職金が減ってしまったため、iDeCoを活用することで老後に備えることができます。 -
所得が高い人
iDeCoの節税効果が高くなります。 -
20代や30代の若い人
iDeCoの運用期間は短いほど老後の資産が少なくなりますので、若いうちからiDeCoに加入することをおすすめします。ただし、給付金を受け取るためには10年以上の加入期間が必要です。 -
貯金が苦手な人
iDeCoなら月5000円から掛金を設定することができ、老後の資産形成を節税対策や資産運用と一緒に行うことができます。ただし、負担のない範囲で支払える金額を設定することが重要です。
おすすめできない人
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専業主婦や主夫の方
所得税や住民税を納めていないため、iDeCoに加入しても税金の軽減メリットを享受することができません。 -
50代後半の方
iDeCoの運用期間が短いため、節税などのメリットをあまり享受することができません。 -
貯金がない人や少ない人
iDeCoの掛金は60歳まで引き出せないため、何かあった際に備えてお金を持っている必要があります。
以上がiDeCoは個人の状況によってメリットが異なる制度です。
また、iDeCoに向いていない方には「NISA(ニーサ)」や「つみたてNISA」がおすすめです。こちらの制度では、非課税で資産を運用することができます。
それぞれの特徴を理解し、自分に合った制度を選ぶことが重要です。
自分の状況に合わせて、適切な選択を考えてみてください。
5. iDeCoを活用する注意点
iDeCoを利用する際には、以下の注意点に留意することが重要です。
注意点①:金融機関の変更
- 加入しているiDeCoの運営管理機関(金融機関)は変更できます。
- 「加入者等運営管理機関変更届」を提出し、手続きを行います。
- ただし、金融機関によっては手数料が発生することに注意が必要です。
- 資産の移管時には、すべての資産を売却する必要があります。
- 運用商品の選択や手続きにより、運用が一時的に中断する場合もあります。
注意点②:運用商品の変更
- iDeCoで選択した運用商品は、随時変更できます。
- 投資割合(配分)の変更や、商品の解約や別の商品への投資も可能です。
- 通常、配分変更やスイッチングには手数料はかかりません。
- ただし、商品の変更により売却する商品によっては手数料が発生する場合があります。
- 商品の変更により、金融商品にかかる手数料も変わる可能性があることに留意しましょう。
注意点③:適切な商品選択とリスク管理
- iDeCoの運用商品は、元本確保型と元本確保型以外の2つに分類されます。
- 元本確保型商品は安定した資産形成ができますが、利益は上限があります。
- また、元本確保型以外は主に投資信託で利益を期待できますが、リスクもあります。
- 各種商品の内容やリスク・リターンを確認し、許容できるリスク範囲内で投資対象を選びましょう。
- 運用状況の継続的な確認も重要です。
注意点④:退職時の税優遇措置の活用
- iDeCoでは、状況により退職所得控除や公的年金等控除などの税優遇措置が受けられます。
- 年金で受け取る場合は「公的年金等控除」が、一時金で受け取る場合は「退職所得控除」が適用されます。
- 控除をうまく活用すれば、一定額まで非課税で受け取ることができ、受給時の税負担を軽減することができます。
iDeCoを有効活用するには、これらの注意点に注意し、適切な運用と商品選択を行うことが大切です。自身の将来の資産形成や老後資金に向けて、計画的で効果的なiDeCoの活用を目指しましょう。
まとめ
iDeCoは個人が自身で確定拠出年金を作るための制度であり、将来の安定した生活のために老後資金を築く手段として活用されています。
ただし、デメリットも存在します。iDeCoのデメリットとしては、収入がない場合や貯金が十分でない場合に負担になる可能性があること、定期預金だけでは高リターンを期待することが難しいこと、投資に伴う元本割れのリスクや手数料の負担があることが挙げられます。
そのため、iDeCoを活用する際には自身の状況や目標に合わせて適切な判断を行うことが重要です。デメリットを理解し資金計画を立てることで、iDeCoを効果的に活用し、将来の安定した生活を実現しましょう。