ふるさと納税と節税、よく聞くこれらの言葉ですが、実は両者は全く異なるものです。
“ふるさと納税=節税ではない”という真実について、今回の記事では詳しくご紹介していきます。
この記事を通してふるさと納税と節税の違いを理解し、正しい知識であなたの生活に役立てていただければ幸いです。
それでは、さっそくふるさと納税と節税について解説していきましょう。
1. ふるさと納税と節税の違い
ふるさと納税と節税は似ているが異なる概念です。
以下にそれぞれの違いを説明します。
ふるさと納税
ふるさと納税は、地方自治体への寄付を通じて所得税や住民税を前払いする制度です。
自分の好きな自治体に寄付を行い、寄付額から2000円を引いた金額分の所得税・住民税が控除されます。
寄附金控除の計算方式
所得税:(ふるさと納税額 - 2,000円)を所得控除(寄附金控除)
住民税:(ふるさと納税額 - 2,000円) × 10%を税額控除(基本分と特例分)
※具体的な計算はお住まいの市町村に問い合わせることをおすすめします。
納付したふるさと納税の金額と控除された税金の金額がほぼ等しくなるため、節税効果はありません。
節税
節税は、法的に認められた範囲内で税金を減らすことを指します。
法的な手法や控除を活用して税金を減らすことができます。特定の費用や経費を経理上に計上することで税金を減らせるのが一例です。
節税は、範囲内で税金を減らすためには法的に認められた方法を活用する必要があります。
ふるさと納税が節税と異なる理由は、ふるさと納税で控除される金額が支払ったふるさと納税の金額にほぼ等しいためです。
ただし、ふるさと納税には返礼品を受け取るメリットがあります。最大3万円までの寄付が可能であり、返礼品として地域の特産品や食料、飲料などを受け取ることができます。
これにより、ふるさと納税をすることで税金の前払いをして返礼品を手に入れることができます。
以上がふるさと納税と節税の違いについての説明です。
2. ふるさと納税のメリット
ふるさと納税には以下のようなメリットがあります。
自分で税金の使い方を決められる
ふるさと納税では、自分自身で税金の使い方を決めることができます。
寄附金の用途を選ぶことができるので、自分が応援したい事業や地域の発展に直接関わることができます。
たとえば、子育て支援事業、学びの場の創出事業、産業の充実に関する事業、IターンやUターンによる定住促進事業、安心・安全なまちづくり事業など、さまざまな用途から選ぶことができます。
実質2,000円で返礼品を手に入れられる
ふるさと納税をすると、実質2,000円で返礼品を手に入れることができます。
寄附金額から2,000円を差し引いた金額で返礼品を選ぶことができます。返礼品のカテゴリーは多岐にわたり、食品や雑貨、旅行、美容、ファッションなど様々なジャンルから選ぶことができます。
さらに、金額によっても検索が可能であり、自分が欲しい返礼品を選ぶことができます。
地域の復興・活性化に貢献できる
ふるさと納税は、居住地以外の自治体を応援できる制度です。
寄附金を通じて地域の復興や活性化に貢献することができます。
特に災害地域への寄附や地域の特産品の購入を通じて、被災地や地域の経済の復興を支援することができます。地域にとっては大きな助けとなり、寄附者自身もその喜びを感じることができます。
ふるさと納税のメリットは以上です。
自分の意思で税金の使い方を決め、お得な返礼品を手に入れることができるうえに、地域の復興や活性化にも貢献することができるので、ぜひ、ふるさと納税を活用してみてください。
3. ふるさと納税の仕組み
ふるさと納税の仕組みは以下のようになっています。
3.1 寄附金控除とは何か?
ふるさと納税では、「寄附金控除」という制度が適用されます。
これはふるさと納税を行った金額が所得税や住民税から控除される仕組みです。
3.2 所得税・住民税の安くなるわけではない
ふるさと納税によって所得税や住民税が安くなるわけではありません。
実際にはふるさと納税した金額から一部が控除されるだけであり、税金を前払いすることになります。
3.3 控除される金額が異なる
ふるさと納税の寄附金控除には上限があり、人によって控除される金額が異なります。
寄附金の控除額は、総所得金額の30%を上限としています。
- ・寄附金の控除額は、寄附先の自治体や寄附金の額によって異なります。
- ・上限額を超えた場合は、超えた分は自己負担となるので注意が必要です。
3.4 手続きが必要
ふるさと納税を行い、控除を受けるためには所定の手続きが必要です。
主な手続き方法としては以下の2つがあります。
- 確定申告制度:1年間の所得に対する納税額を計算し、申告して納税する手続き。
- ワンストップ特例制度:一定の条件を満たすことで確定申告をしなくても寄附金控除を受けることができる制度。
ワンストップ特例制度の場合、申請期限があるので、各自治体の確認が必要です。
3.5 メリットの節税がない
ふるさと納税は節税対策ではなく「寄附金控除」の制度です。
税金を前払いしているだけであり、所得税や住民税を安くすることはできません。
ふるさと納税の主なメリットは他にありますので、これらも考慮して利用することが重要です。
4. ふるさと納税の始め方
ふるさと納税を始めるための手順を紹介します。
以下の4つのステップで簡単に始めることができます。
ステップ1: 応援する自治体と返礼品を選ぶ
まずは、応援したい自治体と欲しい返礼品を選びましょう。
自分の思い出の町や支援したい地域がある場合は、そこから選ぶこともできます。
また、返礼品に興味がある場合は、返礼品から選ぶこともできます。
返礼品の種類や返礼率には制限があり、自分の欲しい返礼品を選ぶことができない場合があります。詳しくは、総務局のふるさと納税ポータルサイトを確認すると良いでしょう。
ステップ2: ふるさと納税をする
自治体と返礼品を選んだら、ふるさと納税を行いましょう。
自治体に直接申し込むこともできますが、便利なふるさと納税のポータルサイトを利用することをおすすめします。
ふるなびやさとふるなどのポータルサイトを利用すれば、オンラインショッピングのような手軽さで手続きすることができます。
ステップ3: 返礼品と寄付金受領証明書を受け取る
支払い手続きを完了すると、自治体から返礼品と寄付金受領証明書が届きます。
寄付金受領証明書は、確定申告時に必要になるので、大切に保管しておきましょう。
ただし、寄附金受領証明書が届くタイミングは自治体によって異なる場合があります。
ステップ4: 税金の控除・還付に必要な手続きを行う
最後に、税金の控除や還付に必要な手続きを行います。
ふるさと納税を行った翌年の確定申告期間に確定申告を行う必要があります。ふるさと納税ワンストップ制度を利用する場合は、ふるさと納税を行った翌年の1月10日までに申請書を送付する必要があります。
以上がふるさと納税の始め方の流れです。控除は、寄付を行った年の所得税と翌年の6月から翌月5月までの住民税に適用されます。
簡単な手続きを経て、地方を応援したり特産品を手に入れることができますので、ぜひ試してみてください。
「ふるさと納税ワンストップ特例制度」の適用は、ふるさと納税先の自治体数が5団体以内である場合に限られます。
総務省 ふるさと納税ポータルサイト を参照
5. ふるさと納税のデメリットと回避方法
ふるさと納税は多くのメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットも存在します。
ここでは、それらのデメリットと回避方法について解説します。
デメリット
デメリット1: 還付までの時間の遅さ
ふるさと納税を行う場合、所得税や住民税の還付は確定申告の後に行われます。しかし、還付されるまでには時間がかかることがあります。寄付を行った年の所得税の還付は翌年3月以降になることが一般的ですし、住民税の減額も翌年の6月から翌月5月までとなります。
このため、ふるさと納税による税金の効果をすぐに受けることはできない点には注意が必要です。
デメリット2: 税金の控除限度額
ふるさと納税では、寄附金額に対して一部の税金が控除されますが、その控除には限度額があります。特に住民税の寄附金税額控除は、住民税の課税標準の20%までとなっています。寄附金額が限度額を超える場合、超過分は控除されずに全額寄附となってしまいます。
そのため、控除を受けるためには限度額内で寄附を行うことがおすすめです。
デメリット3: 納税者本人以外の名義への寄附の不可
ふるさと納税を行うには、納税者本人と寄附する人が同一の名義である必要があります。納税者以外が代わりにふるさと納税をすると、税金の控除は受けられません。
したがって、納税者本人が必ず個別にふるさと納税を行う必要があります。
デメリット4: 居住地への寄附での返礼品の不可
ふるさと納税では、自分の居住地の自治体への寄附では返礼品がもらえません。例えば、名古屋市に住んでいる場合、名古屋市からは返礼品をもらえません。
そのため、できるだけ自分の居住地以外の自治体への寄附を検討することがおすすめです。
回避方法
回避方法1: ふるさと納税の仕組みを学ぶ
ふるさと納税を利用する際には、その仕組みをしっかりと学ぶことが重要です。メリットやデメリットを含め、ふるさと納税における税金の控除の仕組みについて理解しておきましょう。
回避方法2: 控除の限度額を事前にシミュレーションする
控除の限度額を事前にシミュレーションすることで、どの程度の寄附金額がお得なのかを把握することができます。ふるさと納税ポータルサイトなどを活用して、自分の年収や家族構成に応じた上限額を確認しましょう。
総務省 「ふるさと納税 ポータルサイト」
さとふる「ふるさと納税の控除上限額がわかるシミュレーション&早見表」
楽天ふるさと納税「かんたんシミュレーター」
国税庁「No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)」
回避方法3: 住民税課税決定通知書で控除額を確認する
ふるさと納税をした後は、住民税課税決定通知書を確認しましょう。これにより、寄付金控除額が正しく計算されているかを確認することができます。申告が漏れていた場合でも、5年以内であれば控除申請が可能です。
回避方法4: ポータルサイトを活用する
ふるさと納税の際には、ポータルサイトを利用することでさまざまな特典を得ることができます。例えば、寄附金額の一部がポイントとして還元されるなど、お得にふるさと納税を行うことができます。
回避方法5: ワンストップ特例制度を利用する
ワンストップ特例制度を利用することで、確定申告の手続きを簡略化することができます。ワンストップ特例制度が利用できる場合は、手続きがスムーズに行えるため、なるべく活用しましょう。
以上が、ふるさと納税のデメリットとその回避方法です。
デメリットに対処するためには、仕組みを学び、限度額を把握し、確定申告や控除額の確認を適切に行い、ポータルサイトやワンストップ特例制度を活用することが重要です。
ふるさと納税を利用する際には、これらのポイントを押さえておきましょう。
まとめ
ふるさと納税は節税対策ではありませんが、その他のメリットを活かすことができます。
自分の思い入れのある地域や事業を支援することで、税金の使い方を自分で決めることができます。
また、寄附金額に応じて返礼品を受け取ることもできます。さらに、地域の復興や活性化に貢献することもできるため、ふるさと納税を活用することは意義深いものとなります。
ぜひ、ふるさと納税の仕組みやデメリット・回避方法を理解し、効果的に活用してみてください。